第2巻では、専用業務無線におけるRF 空中インターフェースと工学実装に関する基礎知識を扱う。変調と方式がどのように周波数を使うのか、信号が実環境でどう減衰・反射するのか、アンテナと人体が放射と受信をどう変えるのか、そして安全性と運用管理がなぜ「暗号があるかないか」を超える問題なのかを整理する。本巻は概説レベルの入門であり、機器仕様書、カバレッジ計画のホワイトペーパー、標準一覧を読むための語彙と物理イメージを整えることを目的とする。ETSI、TIA、ITU などの正式標準や、ベンダー固有の設計ツールを置き換えるものではない。
知識構造として、空中方式は「音声とデータが認可帯域内でどのように組織されるか」に答える。アナログ FM、スケルチ、サブトーン選択、そして DMR、TETRA、P25、NXDN、dPMR などのデジタル方式が、それぞれ固有の生態系と典型用途を持つ。アナログ無線とデジタル方式の入門 で用語と階層を整え、主なデジタル専用網方式の比較 で地域や業界背景も含めて違いを俯瞰する。第1巻のトランキング進化史と合わせて読むと理解しやすい。方式の理解に続いて、伝搬とリンクは「なぜ同じ公称出力でも通話距離が大きく異なるのか」を説明する。リンクバジェット基礎 は出力、利得、経路損失、マージンの定量感覚を与え、伝搬・地形・カバレッジ はマルチパス、遮へい、中継サイトが体験を左右することを強調する。アンテナと端末では抽象的なリンク概念を携帯機に落とし込み、携帯型トランシーバーのアンテナと RF 基礎 で波長、利得、SWR、握り方の影響を扱う。安全とシステム境界では、空中インターフェースの暗号化が全体安全性の一部にすぎず、端末ライフサイクル、指令権限、ネットワーク横断業務が別の統治課題を生むことを 無線対講の安全と暗号化 で説明する。セルラーやインターネットを使う PTT はパケットドメインと業務編成の問題であり、その技術経路は第5巻で扱う。本巻では方式比較と安全節の中で、RF 専用網との境界だけを示す。
以下の表では、第2巻の全記事をテーマ別に整理した。第1巻が時間軸と産業軸から「トランシーバーがどのように都市専用網とデジタル時代へ入ったか」を描くのに対し、第2巻は「与えられた周波数帯の中で、信号がどのように構成され、どのように失われるか」に答える。消費者向け製品やネットワーク PTT から入った読者は、第5巻を先に見てから本巻に戻ると、RF 専用網と IP ネットワーク上の協調モデルの違いを把握しやすい。電磁両立性、放射安全、設局認可は本巻では詳述せず、各地域の法規と案件仕様に委ねる。
方式と総覧
| ファイル | タイトル |
|---|---|
| wiki-rf-analog-digital-intro.md | アナログ無線とデジタル方式の入門 |
| wiki-digital-standards-comparison.md | DMR、TETRA、P25、NXDN: 主なデジタル専用網方式をどう比べるか |
伝搬とリンク
| ファイル | タイトル |
|---|---|
| wiki-link-budget-basics.md | トランシーバーのリンクバジェット基礎 |
| wiki-propagation-coverage-basics.md | 伝搬・地形・カバレッジ |
アンテナと端末
| ファイル | タイトル |
|---|---|
| wiki-antenna-basics-portable.md | 携帯型トランシーバーのアンテナと RF 基礎 |
安全とシステム境界
| ファイル | タイトル |
|---|---|
| wiki-rf-security-encryption-intro.md | 無線対講の安全と暗号化 |
他巻の文書
送信出力、周波数、機器認証要件は、利用地域の無線管理法規に従うこと。